ブラックバスの嗅覚について

ブラックバスの生態を知るために、この記事では「ブラックバスの嗅覚」について調べたことをまとめています。

記事の内容
  1. ブラックバスの鼻の構造。
  2. 捕食以外での嗅覚の役割
  3. ブラックバスの好きな匂い。
  4. ブラックバスの嫌いな匂い。

特にブラックバスが好む匂いや嫌う匂いの成分を知る事は、実際の釣りに活かすことができると思います。


ブラックバスの鼻の構造

まずはブラックバスの鼻の構造をカンタンに解説します。

鼻の数

ブラックバスは片側に2個ずつ、合計4個の鼻穴があります。前にある鼻穴を「前鼻孔」、後ろにある鼻穴を「後鼻孔」といいます。

ブラックバスの鼻

この前鼻孔と後鼻孔はパイプ状につながっています。前鼻孔から水が入り、後鼻孔から抜けていく構造になっています。

鼻孔の内部は複雑なひだ上になっていて、そこに匂いを検出する細胞があります。鼻を通り抜けた水に含まれている化学物質の匂いを嗅覚細胞が検出する仕組みです。

そして匂い成分だけでなく、フェロモンなども嗅覚で検知します。

前後の鼻孔をつなぐパイプの表面には、たくさんの細長い繊毛あります。その繊毛の動きや魚の前進運動による水の受けによって、鼻孔の中を水が通ります。

成長するほど、嗅覚が敏感になる

ブラックバスは年数を経て大きく成長するほど、嗅覚が敏感になります。成長するほど、鼻孔の中の「ひだ」が増えるのです。

『Bass Fishing Facts』によると、10~15cmのバスには5~6個の嗅覚のひだがあります。それが30cmのバスになつと数が10倍になり、50cmクラスになると20倍まで増えるのです!

ひだが増えるほど、嗅覚を感じとるための表面積が増えるので、大きく成長したブラックバスは若くて小さいブラックバスより敏感に匂いを感じ取れるのです。

人間の鼻との大きな違い

人の鼻は匂いの嗅ぎ分けだけでなく、呼吸するための器官でもあります。

しかし魚の鼻は、エラにつながっていません。鼻に入った水は、前鼻孔から後鼻孔へ通り抜けるだけです。魚の鼻は、水中の化学物質から匂いを検出するためだけの専門機関なのです。

捕食以外での嗅覚の役割

場所の認識

ブラックバスの嗅覚は、捕食する小魚やエビなどの匂いを探るためだけのものではありません。他に下記のような役割があります。

  • ブラックバス同士の個体識別や他の魚種の匂いの識別。
  • 水草・水生植物を匂いで認識や識別する。
  • 自分のお気に入りの聖域・ナワバリのアピール。

大きく成長したブラックバスは自分のお気に入りのテリトリーを持つものもいますが、そのようなナワバリのアピールも匂い・嗅覚によるが使用されていると、『Bass Fishing Facts』には書かれています。

バス釣り本では、普段いる深い場所とエサを獲るフィーディングエリアへの移動のサイクルが説明しているものがありますね。そのように同じフィーディングエリアやお気に入りのエリアを移動して戻れるのは嗅覚によるもの。

まるで犬のようだと思えますが、実際にブラックバスは人間が感知できる量の「100万分の1」のアミノ酸を嗅覚で検知できます。

フェロモン

ブラックバスをはじめ、魚の嗅覚は匂いを探るだけでなく、フェロモンの感知のためにも使われています。

一番わかりやすいのは「スポーニング」ですね。性フェロモンを嗅覚系で認識して、それによって求愛行動が促進されます。

ブラックバスが好きな匂い

他の釣魚も含めて、ブラックバスが好む有名な匂いに「アミノ酸」があります。

エサとなる小魚やエビの身体は主にタンパク質で構成されていて、そのタンパク質を構成している物質がアミノ酸なのです。ある意味、アミノ酸の匂いはブラックバスが捕食する生物の匂いとも言えます

釣りエサや集魚剤の大手メーカーのマルキューにも、「アミノ酸α」、ダイワも「アミノX 」というそのまんまのネーミング商品があります。ダイワのアミノXはバス釣り用もありますね。

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ブラックバス用の集魚剤・パウダーにも、エビの成分を入れたものがよくあります。エビの身体は60%が水分、30%がタンパク質—アミノ酸です。だから、エビの匂いや味の効果を謳うパウダーやフォーミュラにはアミノ酸が多く入っているのでは?


ブラックバスが嫌いな匂い

次は、ブラックバスが嫌いな匂いについて考えます。プレッシャーが高い日本のフィールドだからこそ、考えられるネガティブ要素は減らしたほうが確実です。

ブラックバスが嫌う匂いの具体例

アメリカの有名なブラックバス研究家「キース・ジョーンズ博士(Dr. Keith Jones)」は、以下のものをブラックバスが嫌う成分と言っています。

ブラックバスが嫌いな匂い
  1. 洗剤や石鹸
  2. DEET(虫よけ剤に使われる物質)
  3. 多くの食品とローション防腐剤(特にベンゼン)

この中で最も釣り人と関係ありそうなのは虫よけ剤でしょう。商品によっては含まれていないものもあるでしょうが、虫よけ剤を使う時はルアーやタックルに付着しないように気をつけるほうが無難です。

人の匂いをブラックバスは嫌うのか?

先にブラックバスが好きな匂いとしてアミノ酸をあげましたが、アミノ酸なら何でもいいわけではありません。アミノ酸にはたくさんの種類があります。

アミノ酸の一種に「L-セリン」があります。L-セリンは哺乳動物の皮膚からでるアミノ酸の一種です。…つまり人の手や皮膚からも出ます(^^;)

このL-セリンは特にサケ・マスが忌避する物質として有名です。川の上流で人が手を洗うと、川を遡上しているサケ科の魚はL-セリンに反応して遡上を止めると言われています。

問題なのは、ブラックバスも「L-セリン」の匂いを嫌うのか?

とはいえ、私たちは普通に手でルアーをラインに結び、そして釣っていますよね(^^;)。私個人の意見といては、そこまで気にしなくても大丈夫だと考えます。

人の手から出るL-セリンが釣果に影響すると言っているのは、アメリカの「グレゴリー・バンベネク博士」。アメリカのフォーミュラ剤のメーカーである「Dr. Juice USA」社の集魚剤を開発し、ブラックバスをはじめ多くの魚種のフォーミュラを販売しています。

バンベネク博士はメーカーのブログ記事で、「人が針にエサをつけるだけで魚が嫌がるのに十分な香りをルアーに付けるるので、その香りを排除するか、他の何かでエサを付ける必要がある。」と言います。

Just baiting a hook can release enough of the scent on the lure to discourage fish, so it must be eliminated- or the fisherman should have someone else bait the hook.

出典:An Interview With Dr. Juice, “Dr. Juice: Home Page” https://drjuiceusa.com/blogs/news/an-interview-with-dr-juice

それに対して、「L-セリンはバス釣りに影響しない」と言うのは、アメリカのバスフィッシング界で有名なダグ・ハノン。彼の著書『ダグ・ハノンのビッグバスマジック』で、自身の汗を含ませたエサをブラックバスに食べさせる実験を行い、L-セリンがたっぷり含まれたエサは完全にバスに食べられました。

そこでこの夏、1マイルを5分で走り、かなり汗をかいた後、自宅の水槽のところへ行き、エサに私の汗をしみ込ませて魚にやってみた。ブルーギルもバスも、染み込んだL-セリンも含めて、全てをすっかり食べてしまった。

出典:ダグ・ハノン、『ダグ・ハノンのビッグバスマジック』、80Pより引用、株式会社つり人社、1999年

ダグ・ハノンは著書のなかで、フォーミュラのメーカに対して「本当の科学的な実験が行われていない」と批判しています(^^;)

同じく、アメリカのキース・ジョーンズ博士も、「現在、人の匂いとバスの嫌悪を関連づける証拠はありません」と言っています。

Presently, there is no evidence linking bass repulsion with human odor.

出典:What Can Bass Smell- Fish Tales, “Bixxel Media”, https://bixxel.media/new-page-19

ブラックバスの嗅覚について・まとめ

まとめ
  1. ブラックバスの鼻穴は4つで、匂い成分やフェロモンを検出する専門器官。
  2. お気に入りエリアの主張やフェロモンの受容も嗅覚系の働き。
  3. 捕食対象の身体の構成要素である「アミノ酸」の匂いが好き。
  4. 洗剤や虫よけ剤の匂いを嫌う。

ブラックバスの生態を詳しく知るために、この記事では「嗅覚」について調べました。

いろいろ調べた感想としては、有力な根拠のある情報が少ないこと。人から出る成分の「L-セリン」については、バスが嫌うかどうかで意見が分かれています。他にも情報の元が少し古かったり…。

釣り人としては、匂い付きルアーやワームで口を使わせることができるかという点が一番気になる所。それについていろいろな本や説明を読みましたが、捕食に対しての嗅覚の役割は低いという意見が多いです

アメリカのカプリオ博士は、「獲物の匂いや適切な生物的香りを発するルアーにバスは注意を払うが、動いていない限り匂いの源に攻撃をすることはないと言います。

結局バスに口を使わせるために一番重要なことは、匂いよりも釣り人によるルアーのアクション要素ということでしょう(^^;)

参考文献
  • 川村軍蔵 『魚の行動習性を利用する 釣り入門 化学が明かした「水面下の生態」のすべて』、株式会社講談社、2011年
  • ダグ・ハノン、『ダグ・ハノンのビッグバスマジック』、株式会社つり人社、1999年
  • Larry Larsen. “Bass Fishing Facts- An Angler’s Guide To Bass Lifestyles And Behavior.”, 1989, Derrydale Press
  • An Interview With Dr. Juice, “Dr. Juice: Home Page”, Posted by OSMIC RESEARCH, NOVEMBER 26, 2018 https://drjuiceusa.com/blogs/news/an-interview-with-dr-juice
  • What Can Bass Smell- Fish Tales, “Bixxel Media”, https://bixxel.media/new-page-19