
この記事では、シマノの「18アルデバランMGL 30HG」のオーバーホールの様子を詳しく解説していきます。
アルデバランMGLをオーバーホールする時に注意するポイントは、ネジの多さ!! メタニウムなどの中型リールよりもネジの数が多く、しかも大きさや長さが似ています。
ネジの順番キチンと並べていなかったら、私はどのネジがどこのものなのか分からなくなります(^-^;
そういう点では、アルデバランMGLのオーバーホールはちょっと難しめだと思います。
そんな複雑なアルデバランMGLの分解の工程を、多くの写真と一緒に解説していきます!!
ハンドル・スタードラグの取り外し
最初の作業はハンドルの取り外しです。まずハンドルナットを固定しているリテーナのネジを外します。
ネジとリテーナを外した後、ナットをレンチで外します。この個体は右ハンドルなので、反時計回りに回すと緩みます。
そして、スタードラグや座金などを外していきましょう。ハンドル部分のパーツは下の写真のとおりです。
16アルデバランBFSとアルデバランMGLは、他のリールと違って反っている座金の枚数が一枚少ないです(写真で一番右下)。他のリールでは、反っている座金2枚を<>の形になるように合わせるのですが、アルデバランは1枚だけです。
ついでに、スタードラグも分解しておきます。
これで、ハンドル部分のパーツの分解は完了しました。
ボディの開封
次はボディを固定しているネジを外し、ボディを開封します。固定ネジは全部で5本!!
まずは1本目。
レベルワインドガードの下に2本目と3本目。
クラッチレバーの下に4本目と5本目があります。
それぞれ太さや長さが違うので、組立て時に、「このネジはどこのだったかなあヽ(;´Д`)ノ」と悩まないように注意する必要があります。
私は下の写真のように、位置がわかるようにテープで固定します。
特に頭が平たいネジはたくさんでてくるので、このように分かりやすく整理しておくことをオススメします。
また、ネジ穴を潰さないように注意して外してください。けっこう簡単に潰れます。平たい頭のネジ穴をつぶしてしまうと、もう普通の方法では外せなくなってしまいます。
ネジを5本外すとサイドボディを外すことができます。
ドライブギアの取り外し
ボディを開封したら、次はドライブギアとピニオンギアを取り外します。ドラグなどの順番は写真の通りです。
ギア類を外した後のボディ内部の様子。
ドライブギア軸の取り外し
次ドライブギア軸の取り外しです。固定しているネジ2本を外します。
外してみると、ベアリングにはグリスがべったり(^_^;)
アルデバランMGLのドライブギア軸のベアリング等は、Eリングではなくてネジで固定されています。
このドライブギア軸のネジを外すときは、ネジ穴を潰さないように注意してください!! ネジにゆるみ止めが塗られているので、けっこう硬いです。
また、ネジを回す向きにも注意!! 右ハンドルモデルの場合は、通常通り反時計回りに回せば緩みます。しかし左ハンドルモデルの場合は、時計回りに回して緩む逆ネジになっているので、注意が必要です。
全てのパーツを分解すると、下の写真のようになります。
小さいピンやバネもあるので、うっかり失くさないように気をつけてください。
クラッチの取り外し
次はクラッチ系のパーツの取り外しですが、最近のアルデバランのクラッチは少し仕組みが特殊です。
クラッチカム押さえ板を固定しているネジは、裏面であるスプール側にあります。
この真ん中のネジ2本を外すと、押さえ板を外せます。クラッチツメのバネの圧力があるので、パーツが吹っ飛ばないように押さえながら外してください。
次はクラッチツメの分解です。アルデバランのクラッチツメは複数のパーツでできています。ネジや座金があるので、失くさないように注意。
あとはプレートやクラッチレバーを取り外すと、クラッチ系のパーツの分解は完了です。
全て取り外すと、土台になっている本体Aシートを外せます。これのネジも裏面のスプール側です。
このころには、ネジの頭が平たいネジが多くなっています。サイズは似ていますが、どのネジがどの場所のものか分かるようになっていますか?しっかり順番に並べながらの分解を強く推奨します。
ウォームシャフトギアの取り外し
まずレベルワインドガードを取り外します。これはネジ1本で固定されているだけです。
カバーを外すと、ウォームシャフトギアが見えます。まずは蓋であるレベルワインド受けを外します。
そしてウォームシャフトピンを抜き取ります。
このリールには、座金が2枚入っていました。調整座金の枚数は、個体によって違います。
次はウォームシャフトギアを抜くため、Eリングを外します。私はマイナスドライバーでEリング外しています。
このEリングの下には座金が2種類入っています。うっかり失くさないように注意です。
2枚ある事に気づかず、組立て時に「この座金は何だ?」となることは、オーバーホールのあるあるです(^_^;)。
Eリングを外したので、ウォームシャフトギアを抜き取ります。しかし分解図に乗っている2枚の座金がない…?
レベルワインドパイプの中に抜け落ちていました。よくパイプの中に座金が残っている場合があるので、ここも注意!!
あとはレベルワインドやガイド棒を抜き取り、レベルワインド、ウォームシャフトギアの分解は完了です。
残ったベアリングやパーツの取り外し
主だったパーツの分解は完了しました。あとは各部に残っているパーツやベアリングなどを取り外していきます。
まずはブレーキ側の本体カムレバーの取り外し。
正直なところ、このパーツは取り外す必要はありませんが、せっかくなので今回は分解しました(^_^;)。
次はメカニカルブレーキノブの分解です。これもいちいち細かく分解する必要は無いと思いますが、私は古いオイルやグリスが残るのがイヤなので…。
ベアリングや座金を外し、分解完了。
次はSVSブレーキ側のベアリングを外します。
このベアリングには、サイレントチューンのゴム輪がベアリングに付いています。だから結構抜き取りにくいので、ピックアップツールは必須になります。
そしてスプールシャフトのベアリングも、リムーバーを使って外します。こちらもサイレントチューン仕様のベアリングですね。
そして最後にハンドルノブのベアリングを取り外します。
これで、アルデバランMGLの全ての分解は完了しました!!
アルデバランMGLのオーバーホール・分解まとめ
アルデバランMGLを完全分解していきましたが、その構造は16アルデバランBFSと同じものでした。スプールやブレーキが違うだけかな、と私は感じました。
アルデバランMGLの分解のポイントを私なりにまとめてみます。
- たくさんあるネジの種類・位置を間違えないように並べて分解していく。
- ネジ頭のネジ穴を、なめて潰さないように注意する
一言でいえば、ネジに注意しよう、ということです。
最近のアルデバランは、パーツが多いというよりもネジが多い!! そして、そのネジはサイズが似ている!!
上の写真では分解パーツを並べていますが、もしミスしてあれをひっくり返してしますと、どのネジがどの場所にあったものか、私はさっぱり分からなくなるでしょう(^_^;)
面倒ですが、どこかに順番に並べるか番号を書き、テープで貼って動かないようにするのが無難だと思います。
そして、ネジ頭のネジ穴について。平たいネジをはじめ、細いネジが多いので、ネジ穴もつぶれやすいです。平たいネジのネジ穴を潰すと、外せるんだろうか…?
ドライブギア軸のネジも注意ポイント。以前に16アルデバランBFSを分解した時は、私はネジ穴を潰してしまいました。その時はネジザウルスを使う事で、なんとか外すことができました。
ネジに間違いがなければ、ちょっと構造は特殊ですが、オーバーホールに問題は無いと思います。
清掃・乾燥したら、次は組立て。次の記事では、アルデバランMGLの組立工程の様子を解説していきます。
ハンドルなど周辺パーツの組立て
メインの本体を組立てる前に、まずはサイドボディ、ハンドル、スプールを組立てておきます。
まずはスプールシャフトにベアリングをはめこみ、リムーバーでピンを固定します。
サイレントチューンのゴム輪は、端に近い方がスプール内部側でした。
次はサイドボディにベアリングを取り付けます。
サイレントチューン仕様のベアリングは、少しはめ込みにくくなっています。
最後にハンドルノブを組立てます。
ハンドルノブのベアリングには、私は粘度の高いオイルを使用しています。
今回使ったのは、ボアードの「ライトデューティー」です。ボディ内部のベアリングにも、ライトデューティーを使用しました。
中型のメタニウム以上なら、もう少し粘度の高い「247」と混ぜたりします。
私がリールのオーバーホールで使っているBored(ボアード)のオイルとグリスを紹介! 耐久性が高い100%化学合成油のケミカルです。
レベルワインドの組立て
さて、いよいよメインの組立てです。ますはレベルワインド組からです。
最初にウォームシャフトギアを組立てます。
白いプラスチックブッシュをベアリングに交換しました。まあ、あまり効果はないでしょうが、気分の問題です(^^;)。
ギアをEリングで固定します。私はマイナスドライバーで押し込んではめています。
2枚の座金も忘れずに。
ウォームシャフトギアの準備が出来たので、レベルワインドを組み上げます。
座金も多いですね。私のリールでは、ウォームシャフトギアに2枚、ウォームシャフトピンに2枚、Eリングの手前に2枚の座金がありました。
レベルワインドにパイプとガイド棒をはめ込みます。
そしてパイプに組み上げたウォームシャフトギアを入れ、Eリングで固定します。
固定で来たら、ウォームシャフトピンと座金を入れます。
そしてレベルワインド受けでフタをします。
組み上げ後は手でレベルワインドを動かして、動きの途中で引っかかりがないかを確認します。(以前に炎月をオーバーホールした時、レベルワインドが両端に移動した所で引っかかりがあり、調整に苦労しました(^^;))
問題なかったら、レベルワインドガードを付けて完了です。
クラッチ組の組立て
次はクラッチ組の組立てです。
最初に本体Aシートを取り付けます。ネジ穴は裏側のスプールにあります。
クラッチが稼働する部分なので、表面にグリスをしっかり塗っておきましょう。
そしてクラッチプレートとレバーを取り付けます。
次から、最近のアルデバラン特有のクラッチ構造です。
まず、クラッチカムにクラッチツメを取り付けます。
こんな場所にも小さい座金があるので、忘れないように注意です(^^;)。
そして金具とネジで固定します。
この組立て式のクラッチツメの方が軽量なのでしょうか? どうしてこんな仕組みにしたのか不思議です。
クラッチカムとバネをはめ込み、押さえ板をネジで固定します。
バネの圧力でパーツが吹っ飛ばないように気をつけてください。ネジ穴が裏側にあるので、この作業がやりにくい…(-_-;)。
無事にネジで固定で来たら、クラッチ組の組立ては完了です。パーツの可動域にはしっかりグリスを塗っておいてください。
ドライブギア軸の組立て
次はドライブギア軸の組立てです。
軽量リールであるアルデバランのドライブギア軸は軽いですね(^^)。バスライズのドライブギア軸との重さの違いは、ちょっと持っただけで簡単にわかります。
まずは、軸にピン2つとバネを入れギアをはめ込みます。
この白いギアは表面にヘコミがある面と無い面があるので、分解前と同じ向きになるようにしています。一応、ギアの噛み合わせに影響があるかもしれないので…。
あとは固定板とベアリングを入れ、ネジで固定します。
そして2本のネジでボディに固定して、ドライブギア軸の組立て、取り付けは完了です。
ドライブギア・ピニオンギアの取り付け
さて、いよいよメインギアの取り付けです。
ストッパーギアとドラグ座金を取り付けます。ストッパーギアは、角が曲面になっている方が上(ハンドル側)でした。
あとはドライブギアとピニオンギアをを取り付ければ、作業は完了です。
ボディを閉じ、ハンドルの取り付け
いよいよ作業も大詰め、サイドボディをネジで固定します。
まずはハンドル側に1本目。
裏側のレベルワインド下に2本目と3本目。
クラッチレバーの下とボディ下部に4本目と5本目。
ボディのネジ止めができたら、スタードラグ座金やナットを順番に取り付けていきます。
そしてハンドルを取り付けたら、アルデバランMGLのオーバーホールは完了です。
アルデバランMGLのオーバーホール・まとめ
オーバーホールを終えたアルデバランMGLのハンドルを回すと、巻き心地がとても軽くなっていました(^^)。ドライブギア軸にべったりあったグリスを除去し、中粘度のオイルにしたことで軽くなったと思われます。
じつは作業時にギア比7.4のハイギアから、BFS・XGモデルのギア比8.0に交換したのですが、それでも作業前より巻き心地が軽快です。そのうちBFSのエキサイティングドラグも取り付けようかなと考えています。
去年も今年も話題にあがることが少ないアルデバランMGLですが、幅広い軽量ルアーを楽にキャスティングできるので、私は非常に気に入っています!! 2019年は、このアルデバランMGLで良い釣りをしていきたいですね(^_^)。